下丸子の女性行政書士

会社設立

 

【新設できる会社の種類】
■株式会社・・・出資者と経営に携わる人が異なる(いわゆる「所有と経営の分離」)
        ただし1人でも設立可能
■持分会社・・・「出資者」=「経営者」であり、出資者自らが経営も行う
        出資者を社員と呼ぶ       
 1)合同会社:出資した全ての社員に会社の決定権がある
        定款内容を自由に決められることや株主総会が必要でないことから
        意思決定のスピード感や経営の自由度が高い
 2)合資会社:事業を行う無限責任社員と出資する有限責任社員に分かれる会社
        基本的に有限責任者は経営に参加しない 
 3)合名会社:出資者全員が無限責任社員の会社
        基本的に経営方針は社員全員の合意が必要

 

 会社を作りたいと考えたとき、まずどの形態の会社にするか考えなければなりませんが、合資会社や合名会社は無限責任の社員の負担が大きいことから、設立は減少傾向です。
 株式会社か合同会社の設立がおすすめですが、それぞれメリットデメリットがあるので、自分の会社どどのように経営したいのか、将来どうなってほしいのか検討して選択しましょう。

 

 なお、2005年に会社法が成立(2006年施行)した結果、有限会社という制度はなくなり、有限会社法も廃止され、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。
 ただし、会社法施行の際に存在していた有限会社は、特例有限会社と呼ばれ、株式会社の一形態として会社を継続することが認められています。
                                                                 コラム 有限会社を株式会社に変更するときの手続

 

株式会社設立

株式会社設立前に決めておくこと

1 目的 ※事業目的(何をする会社か)はわかりやすく記載
2 名称又は商号 ※同一本店所在地での同一商号登記の禁止
3 主たる事務所又は本店の所在地
4 発起人又は設立時社員の氏名又は名称及び住所
5 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
6 発行可能株式総数
7 取締役会の設置の有無
8 事業年度
9 会社設立日

 

1〜6は定款に必ず記載しなければならないものです。
定款とは、会社の基本的な規則をまとめたもので、「会社の憲法」と呼ばれることもあります。会社設立時には、必ず定款を作成し、公証人の認証を受けなければなりません。会社設立時の定款は、原始定款と呼ばれます。

株式会社の設立の流れ

1 基本事項の決定 ※株式会社設立前に決めておくこと

2 同一商号・類似商号の調査 (同一本店所在地での同一商号登記の禁止)

3 定款作成

4 発起人会の開催発起人会議事録又は発起人決定書の作成

5 会社代表印・銀行印・角印・ゴム印等の発注

6 公証役場での定款認証 注1

8 金融機関への資本金の払い込み

9 法務局への設立登記申請 注2

10 税務署・年金事務所等官公庁への各種届出

 

 

 

注1 紙の定款の場合印紙代が40,000円かかります。電子認証の場合は印紙が必要ないので、40,000円節約できますが、定款の認証手数料と登記申請用の定款の謄本代が別途必要です。定款の認証手数料は、会社の資本金等が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円です(公証人手数料令35 条)。 登記申請用の謄本手数料は、謄本1枚につき250円ほどかかります。
注2 法務局への設立登記申請は、自分でもできますが、難しい場合は専門家である司法書士に依頼することもできます。株式会社の設立登記時の登録免許税は150,000円又は資本金額×0.7%のどちらか高いほうです。

会社設立後に必要な行為

◆各機関によって提出書類や提出期限がさまざまあるので、各機関のホームページなども確認して書類の漏れがないように注意しましょう。

 

【税務署(会社の本店所在地がある地域の管轄税務署)】

提出書類 添付書類 期限 備考
法人設立届出書 定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(定款等)の写し※平成31年4月改定 会社設立日から2ヶ月以内 個人事業主として開業届を出していた方は個人事業の廃業届を提出する必要があるので、こちらも忘れずに準備しましょう。
青色申告の承認申請書 なし 会社設立日から3ヶ月以内または最初の事業年度終了日いずれか早い方の前日 設立第1期目から青色申告を受けたい場合に提出します。
給与支払事務所等の開設届出書 なし 会社設立日から1ヶ月以内 一人社長の場合でも、自身に役員報酬を支払う場合は提出が必要になります。設立した時点では役員報酬を無しにしている場合でも、将来的に報酬を支払う可能性を考慮して提出しておいた方が良いでしょう。
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書 なし 特になし原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用 従業員を雇用している場合、源泉所得税は原則として徴収した日の翌月10日までに納付をしなければいけません。この申請をすることで毎月の納付作業を年2回にまとめることができます。対象者は従業員数が常時10人未満の小規模な事業所のみです。毎月の納付作業を軽減できるので、該当する方は提出しておくことをおすすめします。

 

【都道府県事務所】

提出書類 添付書類 期限 備考
法人設立届出書(都道府県によって呼称が異なる) ・定款の写し・登記事項証明書 東京23区の場合は15日以内 法人住民税・法人事業税に関する手続きは、本店所在地となる都道府県税事務所と市町村役場に法人設立届出書の提出が必要となります。※東京23区内が本店所在地の場合は、都税事務所に提出のみで市町村区役場への提出は不要です。

 

【年金事務所】

提出書類 添付書類 期限 備考
健康保険・厚生年金保険新規適用届 ・登記簿謄本・法人番号指定通知書などのコピー 会社設立から5日以内 (例外あり)* 社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険・介護保険の総称です。会社設立をしたら、原則、社長一人の場合でも加入しなければなりません。健康保険・厚生年金保険は年金事務所で加入手続きを行います。こちらは会社設立から提出期限が短いので、忘れずに提出するようにしましょう。               法人及び従業員を常時5名以上雇っている個人事業主は法律によって社会保険への加入が義務づけられています。社長一人の会社でも、一定以上の報酬(給与)がある場合は必ず加入しなければなりません。ただし、たとえば役員報酬がない場合、つまり社長の給与がゼロの場合は社会保険に加入しなくても問題ありません。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 なし 被保険者資格を取得してから5日以内(例外あり)*
健康保険被扶養者(異動)届 ・戸籍謄本・年収が130万円未満であることが証明できる書類※平成30年10月改訂 被保険者に扶養者がいる場合、被保険者を取得した日から5日以内(例外あり)*

※会社の登記完了後でなければ届け出ができないので、年金事務所に確認しましょう。登記完了後速やかに手続きをします。

 

 

【労働基準監督署】

提出書類 添付書類 期限 備考
労働保険関係成立届 登記簿謄本 従業員を雇った日の翌日から10日以内 会社設立してから従業員を雇った場合には、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きもしなければなりません。まずは本店所在地の管轄にあたる労働基準監督署で手続きをします。
労働保険概算保険料申告書 なし 従業員を雇った日から50日以内
就業規則(変更)届 ・就業規則の作成又は変更に関する労働者代表の意見書・就業規則本文 常時10人以上の従業員を雇っている場合、すみやかに届け出る 就業規則(変更)届は従業員が10名以上になり、新たに就業規則を作成した場合に提出する書類です。また、就業規則を変更した場合にも提出が必要となります。会社設立時点で従業員が10名以上の場合は上記の書類と併せて提出しましょう。
適用事業報告書 なし 従業員を雇い入れた時に遅滞なく提出(従業員が同居の親族だけの場合は不要) 適用事業所は、労働者を雇い入れたことを管轄の労働基準監督署に報告する書類です。労働者とは雇用形態関係なく、賃金を支給する人を指します。従業員が同居している家族のみの場合は提出する必要はありません。

 

【ハローワーク】

提出書類 添付書類 期限 備考
雇用保険適用事業所設置届 ・登記事項証明書・雇用契約書・労働基準監督署受理済みの労働保険 保険関係成立届の事業主控え 適用事務所になった場合、その日の翌日から10日以内 労働基準監督署の手続きが完了したら、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で雇用保険について手続きを行います。従業員を雇った場合、雇用保険の適用が義務付けられます。この適用を受けるために提出が必要な書類です。提出期限は従業員を雇用した翌日から10日以内です。
雇用保険被保険者資格届 従業員を雇った日の翌日から10日以内 従業員を雇用保険に加入させるために提出する書類です。提出期限は従業員を雇用した翌日から10日以内です。

 

【銀行】

提出書類 添付書類 期限 備考
法人口座の開設 ・会社の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)・会社の定款・会社印・会社の印鑑証明書・代表者の印鑑証明書・代表者の実印・代表者の身分証明書・そのほか、会社の運営実態がわかる資料 速やかに 法人口座とは、文字通り法人名義で開設した金融機関の口座をいいます。法人口座の開設は任意なので、事業の取引を個人名義の口座で行っても問題はありませんが、社会的信用度が上がる、会社の財務状況が把握しやすくなるなどのメリットが有ります。

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